「I miss you」ってフレーズは、英語が得意でなくとも多くの人が「寂しい」とか「会いたい」とかの意であることを知っていると思う。
今回はこのフレーズが巻き起こした出来事と相互文化を理解することの重要性について綴りたい。
LINEで学んだI miss you
インドのコルカタで出会ったジミ(仮名)との話。
ジミは日本で働いていたことがあるらしく、他にも色々な共通点があって意気投合。
LINEを使っているとのことで、早速交換した時の画面がコチラ。
彼とのコミュニケーションは英語だが、彼は簡単な日本語ならできる。
しかしあまり日本語で話したくないらしい。
実際、僕が会話中の英語に詰まると日本語で言い直してくれたことがある。日本語はそこそこのレベルで話せると推測。
本当に日本に住んだことがあるのだろうか、僕は騙されているんじゃないだろうか、と最初は疑ってかかったけど、僕の住んでいる街のローカルな話や見せてくれた日本での写真から判断するに、ジミは嘘をついていないことがわかった。
インドってこうやって人を疑うところから始まって、疑ったことに自己嫌悪するお決まりのパターンで毎度疲れる。それだけ嘘つきが多いんですが。
共通点と言えば、生まれた年が同じだったり、ネット上での名前が「ぴーす」だったり、スキンヘッドだったり。まあ色々。
そんな彼とは2日間一緒に遊んで、コルカタのローカルな酒場だったりお姉ちゃんが踊っている店に行ったり、あんな物を吸ったり飲んだりして過ごした。
彼とのエピソードはこちら
アジアハイウェイ1号線の旅 激走東南アジア編【12日目②】ついにゴールのコルカタへ
旅行
そして最後の夜、彼と別れて宿で一人あんな物を吸ってグルグルになっている時に一通のLINEが来た。
それがコレ。
僕の英語がイマイチなのは勘弁して欲しい。大事なのは気持ちだから。
Brother r u free now?(時間ある?)
いや、さっき別れたばかりじゃないか。
i miss you.(会いたいよ)
うーん。。。
正直に話すと、このメッセージをもらった時にこう思った。
ジミはホモなのか?僕の菊門を狙ってるんじゃないのか?
どんな返信がベストなのかわからず、そして紫煙で頭がグルングルン回っていたので素面になってから返信しようと、翌日空港に着いてから何気無い返信をしておいた。
このジミが使った「i miss you」というフレーズ、すごく気になって帰国後に色々調べてみた。
僕を含めた多くの日本人は異性に対して使うフレーズと思っているけど、同性に対して使っても何ら不自然ではないらしい。
例えば友人と数年会えなくなる場合、見送りに行った空港で「しばらく会えなくなるのは寂しいな」なんて状況で使えるらしい。
ここで2つ重要なことがある。
- i miss youは同性に使うこともできるフレーズであることを理解している
- インド人は「寂しい」「会いたい」を同性に対しても使用することを理解している
この2つを理解していることが前提で、初めてi miss youを用いた異文化コミュニケーションが齟齬なくできることになる。
どちらが欠けても僕のように誤解が生じてしまう。
ちなみにインドでは男性同士が手を繋いで歩いている光景をよく見るので、重要事項の後者は満たしていると推測する。
どんだけ仲良しだよ。
なので今回の場合も決して僕の菊門を狙っているわけではなく、自然な会話だった可能性が高いのだ。
ここまで理解しても、やはり僕には男性が男性に対してi miss youを使用するのには抵抗がある。
これは普段同性に対して「寂しくなるな」などのフレーズを使わないからだろう。
やっぱり菊門狙いなのか?
数ヶ月後、再度インドへ行くことになった。
その際、珍しく僕からジミにLINEを送った。
それがコレ。
If possible come KOLKATA for 2 days. Let’s enjoy. Then take a flight for Goa.
(コルカタに2日間滞在して遊ぼうよ。その後ゴアに行けばいいよ)
You can stay in my house. Welcome bro.
(俺の家に泊まりなよ。歓迎するよ)
ぐいぐい来る。
インド人のこの距離感、苦手。
ジミごめん。コルカタには今回行かないんだ。
そしてやっぱりi miss youの記憶が片隅にチラチラして菊門の危機を感じる。
先に書いた「インド人の距離感」。
毎回思うに物凄い距離感が近い(心理的にも物理的にも)。パーソナルスペースとか一切無視。
過去にミャンマーからインドへ国境を超えた際、乗合タクシーで同乗したインド人に「お前は幸せか?」っていきなり聞かれたぐらいパーソナルスペースが皆無。
こう感じるのは僕が人と接するときに必要以上に距離をおくタイプの人間だからなだけではないと思う。
もう恋人かよ
ある日深夜に目が覚めるとジミからLINEが来ていた。
時間は午前3時頃。
インドとの時差は3時間半なので、ジミの時間は0時前ってことになる。
BRO I miss you. When you come KOLKATA? Stay my house.
(寂しいよ。いつコルカタに来てくれるんだい?俺の家に泊まりなよ)
i miss youの用法はバッチリマスターしているけど、それでも貞操の危機を感じるのは僕が歪んでいるのだろうか。
Now you can call me. Brother call me.
(電話してくれよ。お願いだから電話をくれよ!)
流石に少し怖くなった。
嫁さんが隣で寝ているからできないと言うとこうである。
Little slowly talk.
(囁き声で電話しようぜ)
恋人かよ。
インド人、悪気なくグイグイ来るんだよなー。
そしてダメ出しの一言。
Tomorrow you call me.
(明日は電話くれよな)
結局何が書きたかったんだ?
書き始めた時には、i miss youの用法と相手の文化を尊重しなければ異文化コミュニケーションは成立しない的なことを書きたかったんだけど、結果的にジミに菊門を狙われているんじゃないかって不安を書く羽目になってしまった。
ジミには色々感謝しているところもあり、また旅先でこれほどまでに気が合う友人ができたことに喜びも感じている。
ジミの真意がどうであれ、旅の出会いは財産である。
ジミとはその後もLINEのやり取りをしている。
僕は筆不精なので一方的にジミからLINEが来るのだが。
そしてジミ。勝手にLINEをWebに上げてゴメン。
了
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