(この文章の一部はフィクションです)
コルカタに着いた僕は、宿までの道順で目印としていたサダルストリートを目指す。
1996年、初めての海外旅行がタイとインド。
その時泊まったのがサダルストリート。
(タイで泥棒にやられて半ベソで宿を出たり、色々なエピソードがある旅だった)
久々に見る光景は、以前と変わったような変わってないような。
でも外国人旅行者は少ない印象。
と言うか、いない。
後でインド人に聞いた話だと、今は多くの安宿がつぶれて、残った安宿には出稼ぎに来たバングラデシュ人が泊まっているとのこと。
そしてトラブルが多く、前の週もバングラデシュ人が死んだらしい。
サダルストリートを歩いていると男性が近寄って来る。
男「どこに泊まるんだ?宿を紹介するぞ」
僕「いや、予約した宿があるから」
男「どこの宿だ?もっと安くていい宿を紹介するぞ」
僕「君に宿の名前は教えない」
男「じゃぁ、チャラスはいるか?」
チャラス:大麻樹脂のインドでの呼称
一瞬考える。
だって好きだから。
でも彼からは買わない方が得策かもしれない。
彼の人となりを見て、少しだけどチクられる可能性があると思った。
僕「いらないや」
男「品質いいから買えよー」
僕「もう一人にしてくれ」
そうこうしながら歩いていると宿に到着。
宿の場所はココ。Hotel Great Western。
宿にザックを置き、少し休んでから街ブラ。
歩いていると後ろから声をかけられる。(また何か売りつけてくるのかな?)
男「日本人?」
僕「そうだよ」
男「俺、日本で働いていたんだ。ヘアスタイルも同じだから声かけちゃった」
ちなみに僕はスキンヘッド。もちろん彼もスキンヘッド。
お互いの頭を見て思わずニンマリ。
最初は警戒していたけど、話すにつれて悪い奴ではないことがわかってくる。
奢ってもらったチャイを飲みながら色々と話をする。
彼の名前はジミ(仮名)。
日本で働いていたことは本当。
僕の住む街のことも知っている。
と言うか、日本の免許証まで持っている。
日本語も話せるけど、話すのは好きではないとのこと。
でもたまに僕が理解できない単語があると、日本語に言い変えてくれる。
言い変える単語のレベルから察するに、日本語のレベルは相当高い。
(後にLINE交換した時、彼が最初に送って来たメーセージは日本語で「ジミです」)
僕の英語力が低いせいもあって、インド人の英語は聞き取るのに苦労するんだけど、ジミの英語はとても聞き取りやすい。
ジミも僕の英語は聞き取りやすいと褒めてくれる。
ジミ「インドで見る日本人旅行者は英語がボロボロだけど、君の英語レベルなら大丈夫だと思うぞ」
僕(やったー!本場の英語話者に褒めてもらったー!)
ちなみに僕の英語レベルはTOEIC 520点。それほど凄くはない。
僕「ところでカレーとマサラの違いがわかんないんだけど、何が違うの?」
ジミ「うーん、スパイスとか?」
僕(なるほどわからん)
僕「インド人とバングラデシュ人って見分けられないんだけど、わかるもんなの?」
ジミ「俺からしたら、日本人と韓国人と中国人の見分けがつかないようなもんだよ」
僕(納得)
ジミと話していると、色々と共通点がある。
髪型(頭型?)、年齢、結婚した年(ただしジミは離婚)、イニシャル、そしてチャラスが好き。
ジミ「友達がいいチャラスを持っている。強要はしないけど欲しいなら友達を呼んであげるよ」
僕(ほほう。これはいいチャンスが巡って来た)
僕「じゃぁ、お願い」
ジミ「オッケー!友達と近くの公園で待ち合わせよう」
一緒に近くの公園まで歩いて、ジミの友人を待つ。
待っている間にインドの大麻事情について色々聞いてみる。
わかったことはこんな感じ。
- 今は電話注文でデリバリーが主流
- どこで吸っても大抵は問題無い。もちろん宿でも
- 近くに吸っても大丈夫なレストランがある
- コルカタでもバングラッシーは飲める
バングラッシー:大麻をすり潰してドロドロにしたものをラッシーに入れた飲み物。バラナシが有名
20分ぐらいするとジミの友人が到着。
彼の名前はティム(仮名)。
3人で近くのレストランへ移動して、ビールを注文。
彼らのおすすめのツマミはきゅうりに塩胡椒をかけたもの。
これがかなり美味い。
ほとんど僕が食べてしまう。
そしてティムが持って来たチャラスをご開帳。
包みは2つ。
- カシミール産の高級チャラス
- 普通のチャラス
迷わずカシミール産を5g購入。
ちなみにカシミール産はクオリティーの高さで有名。ブランド物のチャラス。
そしてティムと2人でレストランのバルコニーに移動して一服。
二人で1本吸い終える頃にはいい感じ。
クオリティは悪くない。
ジミが待つ席に戻って、しばらくビールを飲みながら談笑。
ジミ「インドで色々体験したいだろ?インド版ゴーゴーバーへ行こうぜ!中でチャラスも吸えるぜ!」
ジミは相当酔っ払っている。
僕「インド版ゴーゴーバー、見たい!」
僕も相当酔っ払っている。
ちなみにゴーゴーバーとはタイにあるお姉ちゃんが水着で踊っているバー。お持ち帰りも可能。
僕はビールを飲むぐらいでお持ち帰りはしない派。いつも笑顔で旅行を見送ってくれる嫁さんを裏切ることは無粋。
そしてなにより、ゴーゴーバーは飽きた感がある。
僕達は店を出て、タクシーでバーへ向かう。
バーは怪しい雑居ビルの地下。
1人だったら絶対に入らない雰囲気。
中に入ると騒がしい生演奏。
お姉ちゃんは踊っていない。
ジミは店員に何か確認。
ジミ「ココはダメだ。次へ行こう」
2店目。
今度はお姉ちゃんが踊っている。
水着ではなく、裸でもなく、サリーを着て。
ふくよか、ふくよか、ヤンキー、ゲッソリの4人。
音楽はもちろんインドの曲調。
踊りも全然セクシーじゃない。
3人でウイスキーを飲みながら見ていたんだけど、正直何が楽しいのかわからない。
でも2人はノリノリ。(特にジミ)
インド人ってこういうのに興奮するのか、と勉強になる。
僕「(つまんないから)チャラスでも吸おーぜー」
ジミと2人でバーのトイレで一服。
さすがに客席ではマズいのかな。
ウイスキーもあって、さすがにグラグラしてくる。
次に行ったのはローカルな酒場。
沢山のインド人が酒を飲んでいる。
こういう雰囲気、好きだなー。
僕達はまたウイスキーを飲みながらくだらない話。
酒が入ると話が弾む。
しばらくすると
ジミ「さっきのチャラスはいいだろ。あと5gあるから買っといたほうがいいぞ」
僕「けど明後日バンコクへ行くから消費しきれないよ」
ジミ「モノはいいし、持っていて損は無いぞ。宿に戻ったらどうせ吸うんだろ?」
追加で購入。
コルカタを出るまでに消費できる気がしない。
ジミ「明日はどこに行くの?」
僕「何も考えていない」
ジミ「じゃー、明日も一緒に遊ぼうぜ!何したい?」
僕「バングラッシーが飲みたい」
翌日も一緒に遊ぶことになる。
いい加減疲れたところで3人でタクシーに乗って宿まで帰還。
帰り道に見た街は騒がしかった。
翌日の夜は大きな祭りらしい。
ジミ「祭りの日は悪い奴も多いから、あまり出歩かないほうがいいよ」
インドの祭りが危ないってのは昔から変わらないらしい。
ベッドに横になるといい感じにグルグルする。
トイレの窓を開けて、チャラスを一服。
2つある5gの包みの1つが残り少なくなったところで就寝。
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