今回の旅のゴールはもう見えてきた。
この日のバスに乗れば、翌日には確実にゴールのコルカタに着く。
出発前は今回のルートに不明な点が多かったため、余裕を持った日程を組んでいた。
けど思いのほか順調に進んだ(と言うか、前進できる時に移動しまくった)ので、このまま行けばコルカタで6日滞在することになる。
コルカタに6日も滞在してもやることが無い。
コルカタの周辺都市にもあまり興味が無い。
持っている飛行機のチケットは「コルカタ発バンコク行き」と「バンコク発成田行き」の2枚。
バンコクは何度も行っているので行きたい場所は無いけど、あそこならゆっくりできる。
Webで「コルカタ発バンコク行き」の予約を変更して、コルカタの滞在を3日に短縮。
自動的にバンコクの滞在は5日になる。
ギリギリまでエアコンの効いた宿でゴロゴロしてから、チェックアウトして宿を出る。
見渡してもアブドゥールはいない。
よく探すけどいない。
反対車線にもいない。
電話番号は聞いていたので、電話をしようかと悩んでいたら、他のリキシャーマンが近づいてくる。
リキシャーマン「アブドゥールを探しているんだろ?」
僕「うん」
リキシャーマン「彼は来ないよ」
僕「え?」(アブドゥールから客を奪おうとしているのか?)
リキシャーマン「今電話するから待ってろ」
彼はアブドゥールに電話をして僕に代わる。
アブドゥール「いやー、嫁が急病になっちゃって、今病院にいるんだ」
僕「マジ?」
アブドゥール「そのリキシャーマンにバスのチケット屋の場所を教えるから、連れて行ってもらってよ」
きちんとお別れできなくて残念。
ダッカでの楽しいひと時をありがとう、アブドゥール!
そして代わりのリキシャーに乗ってバスのチケット屋へ向かう。
着いたのは21時、発車時刻の22時まで時間はある。
バスのチケット屋にチケットを見せて、この場で待っていればいいのか確認すると「ここで待っていろ」とのこと。
しばらくすると発車の場所が変わったのか、外に出るようにうながされる。
バスのチケット屋がリキシャーを止めて何やら話している。
チケット屋「このリキシャーに乗れ」
僕「なんで?」
チケット屋「バスが発車する所まで連れて行ってくれる」
僕(そういうシステムなの?)
リキシャーに乗り込んで走ること100mぐらい。リキシャーマンは首をヒョイっと降りるよう合図。
降りた所はさっきのバスのチケット屋の系列店みたい。
まだ時間はあるので店の周辺をウロウロと観察。
すると近くにパーン(噛みタバコ)屋を発見。
何事も経験とばかりにチャレンジ。
パーン屋「何にする?」
僕「何があるの?」
パーン屋「んー。甘いのとスパイシーのどっちが好き?」
僕「じゃ、甘いので」
パーン屋は手際良く僕のパーンを作り始める。
初めて口に入れたパーンは形容しがたい味。
不味くはないけど、美味くもない。
葉っぱと木とケミカルな味。
嗜好品としてはフリスク的な立ち位置の印象。
パーン屋「もしかして初めて?」
僕「うん。美味くはないね」
それにしてもバスはなかなか来ない。
チケットには22時発と書いてあるのに、すでに時間は過ぎている。
本当にココで待っていればいいのか、はたまたバスはもうすでに行ってしまったのか、不安になってくる。
よく考えたら、店の人が何か叫んだ時に待合室から何人か出て行った。そんな光景を何度か見ている。
乗り遅れてないよね。
店の人にチケットを見せて確認。
うん、まだみたい。
結局バスが来たのは23時前、もう眠い。
バスに乗ると、シートは2+1列のVIP。
指定された席に座り、早速寝る。
翌日はインドのコルカタ。この旅のゴール。
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